詩の日めくり 二〇一七年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
っちょぐっちょだわ。いまはもうクスリの時間かな。

 ジョー・コッカーの『You are so beatiful』を聴いている。世界は美しい音楽と、すてきな詩と、すばらしい小説でいっぱいだ。それなのに、ぼくは全的に幸せだとは思えない。なぜなのだろう。欲が深いのかな。あしたから文学三昧の予定なのに、それほど期待していない自分がいる。


二〇一七年七月十一日 「鈴虫」


  月影は同じ雲井に見えながら
     わが宿からの秋ぞ変れる

 このお歌は文学的の価値はともかくも、冷泉院のご在位当時と今日とをお
思いくらべになって、さびしくお思いになる六条院のご実感と見えた
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