詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
がゆっくり位置をかえる


笹沢美明 「愛」

「愛の方向が判(わか)るだけでも幸福だな」と。


三好達治 「?(かもめ)」

彼ら自身が彼らの故郷
彼ら自身が彼らの墳(ふん)墓(ぼ)


鮎川信夫 「なぜぼくの手が」

さりげないぼくの微(び)笑(しよう)も
どうしてきみの涙を
とめることができよう
ぼくのものでもきみのものでもない
さらに多くの涙があるのに


平木二六 「雨季(うき)」

仕事、仕事、仕事、仕事が汝の存在をたしかめる。


田中冬二 「美しき夕暮(ゆうぐれ)」

女は
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