詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
消すな!」


吉岡 実 「雷雨の姿を見よ」5

風景に期待してはならない
距離は狂っている


吉岡 実 「楽園」

私はそれを引用する
他人の言葉でも引用されたものは
すでに黄金化す


吉岡 実 「草上の晩餐」

多くの夜は
小さいものから大きくなる
大きいものから小さくなる


西脇順三郎 「あざみの衣(ころも)」

あざみの花の色を
どこかの国の夕(ゆう)陽(ひ)の空に
たとえたのはキイツという人の
思い出であった
この本の中へは夏はもどらない


武村志保 「白い魚」

凍(こお)った夜の空がゆ
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