詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
 


ロバート・フロスト

わたしは夜に精通している者なのだった。
わたしは雨のなかを突然歩き去る──もちろん、その背中も雨のなかだ。
わたしは都市の最果ての街明かりのあるところをもっと速く歩いていたのだ。

わたしはもっとも悲しい都市の路地に目を落としたのだった。
わたしは巡回中の夜警のそばを通り過ぎたのだった
そいつはわたしの目を見下ろしたのだった、その目はしぶしぶと事情を語ってはいたろうが。

わたしは静かに立って、足音をとめたのだった。
なぜなら、遠くで出し抜けに叫び声がしたからだった
別の通りにある家々のまえを横切って聞こえてきたのさ、

でもだれも、わた
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