詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
わたしのことを呼びとめもしなかったし、別れを告げもしなかったのだ。
そしてさらにいっそう静かなところ、超自然的なくらいに高いところに
空を背景にして、ひとつの時計が光っていたのさ。

そいつが時間を教えてくれることは悪いことでも善いことでもないのさ。
なぜなら、わたしは夜に精通している者なのだったからさ。


二〇一七年三月二十五日 「チンドン屋さんたち」


 天下一品で、焼き飯定食のお昼ご飯を食べてから歩いて西大路四条を横切ったら、チンドン屋さんたち(先頭・男子、あとふたり着物姿の女子の合計三人組)に出くわした。何年振りのことだろう。昭和でも、ぼくの子どものころには目にし
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