詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
ore I sleep,
And miles to go before I sleep.


雪の降る夜に森のそばに立って

ロバート・フロスト

これがだれの森かはわかっているつもりだ。
そいつの家は村のなかにあるのだけれど。
彼はここに立ちどまって、ぼくの姿を見かけることはないだろう。
雪でうずくまった自分の森を目にはしても。

ぼくの小馬は奇妙な思いにとらわれるだろう、
近くに一軒も農家のないところに立ちどまったりすることには。
森と凍りついた湖のあいだで
一年でいちばん暗いこんな夜に。

小馬は馬具の鈴をひと振りする
なにかおかしなことがありはし
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