詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
きたくて、それらは残したのであった。

 中央公論社の『日本の詩歌』も、好きな詩人たちのものがそろっているので、きっと再読するだろう。ぼくがはじめて詩を書いた『高野川』のころのぼくには、もう戻れないと思うけれど、ぼくの作品は、これからますます単純化していくような気がしている。おそらく、それは、『詩の日めくり』に反映されるだろう。

 齢をとって、この詩人はろくなものしか書けなくなったと言われるだろうと思うけれど、ひとの言葉に耳を傾けることをしたことがなかった詩人なので、そんなことはどうでもよい。いまは単純化に向かって歩んでいきたいと思っている。まあ、もともと、ぼくは、難しい言葉を使う書き手
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