おまえがアーメンとは言えないものを/ただのみきや
 
から直角に
清掃夫は曲らない鉄砲玉のように飛び出した
激しい照り返しの中を必死に走ったが
ひどくゆっくりのようにも感じていた
やがて立ち止まり 振り返ると
首無しの行進はもう見えなかった
(――やった! )
先へ行こうと向き直った刹那
なにかが閃いて辺りが反転した


Yの半生は予行練習だった
五寸釘はいつもポケットに入っていたが
時計はいつも指してはいけない場所を示した
とっくに釘は錆びていてカラメルの匂いがした
Yは母親に猿ぐつわをはめたまま
冬の花壇に埋めていた
春には母親は無言のまま色とりどりの花となり
蝶や蜂で受粉して鉛色の種子を身ごもっていた
Yは
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