詩の日めくり 二〇一七年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
とを知っている、それだのにここにいるふたりは、死がすでにこの室内の、彼らのすぐわきにたたずんでいることさえ気づかない━━、彼らを呼びさましてそのような現実認識へみちびくことがまだ可能だろうか?(ブロッホ『ウェルギリウスの死』第?部、211頁)

「現実とは愛なのだ」(ブロッホ『ウェルギリウスの死』第?部、川村二郎訳、204ページ)

 ひとつの自然は別の自然になりえねばならぬ(マルスラン・プレネ『(ひとつの自然は………)』澁澤孝輔訳)

 学校の授業の合間に読んだブロッホの『ウェルギリウスの死』はやはり絶品だった。どのページを開いても、脳裡に届く知性のきらめきが感じられる。プレネの入っ
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