詩の日めくり 二〇一七年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
?部、川村二郎訳、211ページ)

 ルキウスがいった。「真実ばかりが問題だとはいえまい。狂人でさえ真実を語る、あらわな真実を告げることができる……真実が力をもつためには、それは制御されねばならない、まさしく制御されてこそ、真実の均斉が生ずるのだ。詩人の狂気のことがよく語られる」━━ここで彼は、わが意を得たりといわんばかりにうなずいているプロティウスを見やった━━、「しかし詩人とは、みずからの狂気を制御し管理する力をそなえた人間のいいにほかならないのだ」(ブロッホ『ウェルギリウスの死』第?部、川村二郎訳、211ページ)

 愛の現実と死の現実、それはひとつのものだ。若い詩人たちはそのことを
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