詩の日めくり 二〇一七年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ころで外食してたんだけど、すき焼きって言えば、キムラだった。キムラでは、牛脂を熱した鍋に入れて鍋底前面に塗り倒してから、肉を焼いて、砂糖にまぶしてから、タレを入れて、それから野菜なんかを入れていったから、その順番が正しいとずっと思っていて、3、40年ぶりに森澤くんとキムラに行って、すき焼きを食べたんだけど、二人でキムラに行くまえに日知庵で、すき焼きのつくり方の話をしていて、やっぱり肉を焼いて砂糖をまぶしてからタレを入れて野菜なんかをさいごに入れますよねって話をしていたんだけど、二人でキムラで、牛脂を鍋底に塗り塗りしていたら、仲居のおばさんが急に出てきて、「わたしがしましょうか?」って言ってくれたの
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