もがきながら側溝の闇に消えた揚羽蝶のために/ただのみきや
師は乾いた骸を箱に収め
影のように傍らへ置き一杯ひっかける
お嬢さん一緒にお茶しませんか
蛇のように猫のように跳ねる魚のように
しなやかな嘘が好きだ
嘘とは名乗らずましてや真実と押し付けず
風のように風と踊る樹々のように
虚を突いて訪れる包み隠された女のように
響き合い虚像を生み陰影を匂わせる
しなやかな嘘が好きだ
時折革の鞭のように虚空を鳴らし
吹き消された後の白い煙のよう
静かにたわんではまた糸のように
すーっと静かに虚に還る
しなやかな嘘が好きだ
ささやくように去りいつまでもそこに
いるような 哀しい幽霊のような
青磁の頬を撫
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