もがきながら側溝の闇に消えた揚羽蝶のために/ただのみきや
を撫でるようで
愛しい者の頭骨のような
指先にどこまでもつめたくて
こころに熱く沁みて来る
しなやかな嘘が好きだ
歪んだ三面鏡に閉じ込められた
もの言わぬたった数個の痛みの化石が
奇妙な花となって像を結び また崩れ
実も種も残さず海馬に散り落ちる
偽りようもなく同意を求めずひとり
空白の汀に立っている
しなやかな嘘が好きだ
グッピーきれい
それがまともかまともじゃないか
決めるのは専門家ではなく群衆だ
専門家は曖昧を好まず
群衆は「ようするに」を好む
その時そこに開いた傷口
出現した突端の様相を
根深いと言いつつ根を掘り出しもせず
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