越境者/ただのみきや
っている
しゃがんで四つ葉を探せば
目の横に
小さな赤い着物
わたしもまた少年のまま
甘酸っぱく
老いた分だけすこし哀しい
夕べに顔をベールで被う
留め置かれた白い翼はいま
切れ切れになり
永すぎる蒼穹に磔にされた
堕天使の翼が散って往く
西の地平から漏れ出した
ゲヘナの炎に焼かれながら
静寂と騒めきが共に飽和する
群青の目隠しの向こう
人のかたちの哀れみも
間もなく閉ざされる
念じる者はいる
論じる者もいる
禁じる者も断じる者も
だが慣用句以外
祈る者はいない
卵生人語
流れるように還り
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)