そしておそらくはそれだけが在ることにより/ホロウ・シカエルボク
 
電球を捻じ込む為の穴があった。けれどそれはあの蛇口と同じで、もしどこかから電球を探してきてそこに捻じ込んだとしても、そこに光が灯ることはないのではないかという気がした。一度目を閉じた。再び目を開けるとそこには暗闇が広がっていた。誰かが棺の蓋を閉めたのだ。音もなく、瞬時に。これは死だ、と俺は考えた。概念上の死なのだ。誰かが俺をここに連れてきたかったのだ。何のために?俺はこのままで居るとなにかしらの変化が自分に訪れるのだろうかと少しの間待ってみた。けれど、どれだけ待ってもどんなことも起こらなかった。長いことそうして限定された暗闇の中に横たわっていると、次第に恐怖が湧き上がり、そのうちに蓋を内側から持ち
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