そしておそらくはそれだけが在ることにより/ホロウ・シカエルボク
っていて確かにこんな場面だとにんしきするのはちょっと困難だった。蓋に手をかけ、静かに横に押し出す。白い布が敷き詰められた内部には誰も寝ていなかった。つまりそれは、俺がそこに横たわらなければいけないということなのだろうか?それとも、ここに横たわるためにまた新しい誰かがここに現れるのだろうか?棺が現れた時と同じように、唐突に、音もなく。けれど俺はもう悩まなかった。ハナから訳が分からないままでここに居るのだ、事態が動くのであればもう何でもやってやろうと覚悟を決めていた。白い布がなるべくずれないように気を使いながら、もしかしたらついさっきまで死体が眠っていたかもしれないその中に身を横たえる。天井には、電球
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