そしておそらくはそれだけが在ることにより/ホロウ・シカエルボク
 
らない。棺を後回しにして、壁にそって一周してみた。入口から一番遠いところに手洗い場がひとつあるだけだった。蛇口を捻ってみたが水は流れ出さなかった。水が止められている、というよりは、形式的に存在しているというだけであって、水が流れるという概念がすっぽり抜け落ちているかのような手応えの無さだった。入口に戻り、再び物言わぬ棺と対峙した。開けるしかないような気がする。もしかしたらすでに釘で止められているかもしれない、それでも絶対に開けなければならないのだろう。いってみればフラグだ。この棺に関わってなんらかの結果を出さないことにはネクストが用意されない。そんな気がした。試しに入口の自動ドアらしきものが開くか
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