詩の日めくり 二〇一六年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ようだな。」
「紙を丸めて投げつけて、どこが芸だというのです。芸のためには、もっと練習に励まなくてはなりますまい。」
「いま君に訳してもらったところだが、一、教室のだれ一人として聞いていなかった。二、構文がまるきりまちがっている。」
「雨が降ると、意味はどうなりますか?」
「君たちは、いったい、椅子を足の上において靴でインキ壺を磨きたいのかね?」
「筆箱はペン軸に、カバンは筆箱に入れておくものです。」
「最上級生には、下等な生徒はいないはずです。」
「カント同様、私は思考能力に二つのカテゴリーしか認めない。
すなわち、鞍と馬である。いや、
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