詩の日めくり 二〇一六年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
二十六日 「2008年6月26日のメモより」


不眠症で、きのう寝てないんですよ、という話を授業中にした翌々日
一人の生徒に
「先生、きのう、寝れた?」
って、訊れて、その前夜は寝れたので(いつもの薬に、うつ病の薬を加えて)
「寝たよ。」というと
にっこり笑って
「よかった。」
って言ってくれた
とてもうれしかった
ごく自然にきづかってくれてるのが伝わった
ごく自然に伝わるやさしさの、なんと貴重なことか。
ぼく自身を振り返る
ぼくには、自然に振るまえるやさしさがない
ぼくには、自然にひとにやさしくする気持ちがない
ぼくにはできないこと
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