詩の日めくり 二〇一六年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ことを、ごく自然にできる彼が
その子のようなひとたちのことを思い出す
いたね、たしかに、遠い記憶のなかにも
ごく最近の記憶のなかにも
この人間という時間のむごさとうつくしさ
この人間という場所のむごさとうつくしさ
この人間という出来事のむごさとうつくしさ
二〇一六年十三月二十七日 「奇想コレクション」
それはたとえば、そうね、灰色の猫だと思っていたものが
そうではなくて、コンクリートで作られたゴミ箱だったことに気がついて
そのまわりの景色までが一変するような、そのようなことが起こるわけ
一つの現実から、もう一つ別の現実への変化なのだけれど
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