憑きものばんざい/ただのみきや
 
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男は自分のコンプレックスのフィギュアを造形して
奇妙な言葉による着せ替え人形遊びが止められなかった
こと自体芝居だったのかどうかも最早わからなかった
ことすらも夢か現実か曖昧になってきた
などと手帳に書いては消して書いては消して すでに
翡翠の赤坊は涙腺に詰まったまま息を引き取っていた
すっかり土に取り込まれて女は 無数の蛙たちの笑い
油のような闇の流れ
そして一面のこけしたち 血を吸ったように真っ赤な
どれもこれも モナリザの微笑み





まばたき

場外市場では朝早くから飲食店が開いている
子どもたちのふくらはぎは雨でも白く安らか
コンビ
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