憑きものばんざい/ただのみきや
 
を身に着けて聴診器をぶら下げた 途端――
二つ目のこけしがぶち当たり額が割れた
(可憐 )一瞬 確かにそう思ったのだ 
マカロニたちはすでに死の完成形であり完全体
草葉の影の虫たちの囁き やがて
一つ目小僧たちが集まって来て男を囲んで歌い出す
解らない古代語 グレゴリアンチャントに似ていた
するとそれに交じって遠くから落語らしきものが聞えて来て 
切なくなって泣き出した
はっきり聞こえないはっきり見えない
この歯がゆさ 腹膜の鳥肌よ
男の涙は砂糖水の味がする寝小便だった
(マカロニの内径がスパゲティの直径だとだめなのか
 おれは最後まであいつを喜ばすことが出来なかった )
[次のページ]
戻る   Point(5)