憑きものばんざい/ただのみきや
を身に着けて聴診器をぶら下げた 途端――
二つ目のこけしがぶち当たり額が割れた
(可憐 )一瞬 確かにそう思ったのだ
マカロニたちはすでに死の完成形であり完全体
草葉の影の虫たちの囁き やがて
一つ目小僧たちが集まって来て男を囲んで歌い出す
解らない古代語 グレゴリアンチャントに似ていた
するとそれに交じって遠くから落語らしきものが聞えて来て
切なくなって泣き出した
はっきり聞こえないはっきり見えない
この歯がゆさ 腹膜の鳥肌よ
男の涙は砂糖水の味がする寝小便だった
(マカロニの内径がスパゲティの直径だとだめなのか
おれは最後まであいつを喜ばすことが出来なかった )
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