蜃気楼に傷口/ホロウ・シカエルボク
 
ること以外に俺たちに出来ることはないだろう、でもそれは何もしないよりずっとマシなことには違いない、どんな矛盾が生じても構わない、辻褄を合せる為に生きているわけではないのだ、生命のすべては矛盾の中で息をしている、それを息苦しいと感じるのか、それとも心地いいと感じるのか、それはすべての、すべての歌を求める者たちの感性による、例えば俺がそれはこういうわけだと決めてしまうわけにはいかないものだ、たとえそうしてみせたところで、なるほどそうかと腑に落ちるようなものなどひとりも居やしないだろう、それは俺のあらゆる認識を越えているものなのだ、もちろん、お前にとってもそうだ、その本質は誰に見えるものでもない、たかだ
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