蜃気楼に傷口/ホロウ・シカエルボク
 
、蜘蛛の糸に群がる亡者のようにね、鼓動にはまだ見つけられていない言葉がある、それはひとつ鳴る度に更新される、アップデートされていくのだ、俺たちの感覚では間に合わない、ログにすら残されない、瞬間瞬間によって、偶然こぼれたもの、吐き出されたものを拾い上げて飲み込んでいくしかない、それはとても巧妙な文字であり、とても巧妙な文節であり、とても難解な意味がまるで一本一本の糸となって、タペストリーのように織られている、それを解き、知ろうとし過ぎると次に来るものを見落としてしまう、それぞれの意味を抱きしめることは出来ない、すべては打ち寄せて去っていく波のように素気ない、砂浜に立ってそのすべてを漠然と受け止めるこ
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