蜃気楼に傷口/ホロウ・シカエルボク
 
留めた幾つもの閃きの中に埋もれ、自ら作り上げた迷路の中で行先を失くしてしまう、滑稽が込み入り過ぎた笑えない冗談のようだ、それでも新しい足跡は絶えない、真実を求める人々は必ずどこかからそこに現れ、その中で死に絶えていく、ああ、俺の中にある歌、お前にその旋律を伝えることが出来ればいいのに、口に出したとたんにそれは姿を変えてしまう、意味を変え、または失くし、効力を失った古代魔術の呪文のように漂うだけになってしまう、神であるには至らな過ぎる、けれども人であるには自覚的であり過ぎるのだ、社会はひとりの人生を手に入れることが出来ない連中の為の松葉杖、だから見ろ、そこに居る連中は誰かの足を引っ張り続けている、蜘
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