詩の日めくり 二〇一六年十二月一日─三十一日/田中宏輔
ながら空中を浮遊するケツの穴だ。
あなたの目撃には信憑性がないと幕内力士がインタヴューに答える。
めくれあがったコンクリートの陸橋がしずかに地面に足を下ろす。
帰り道
わたしは脚を引きずりながら考えていた
机の上にあった
わたしの記憶にない一枚のレシート
めくれそうになるぐらいに、すり足で
賢いひとが、カーペットの隅を踏みつけながら、ぼくのほうに近づいくる。
ジリジリジリと韻を踏みながら
そこは切符が渡されたところだと言って
賢いひとが、カーペットの隅を踏みつけ踏みつけ
ぼくのほうに近づいてくる。
(ここで、メモを手渡す。)
賢いひとが、長い
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