詩の日めくり 二〇一六年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
おにぎり。
拉致餃子。
すべてのものが流れ去ったあとにも、残るものがある。
紫色の小さな花びらが4枚
ひとつひとつの細い緑色の茎の先にくっついている
たくさん

ひとつ
ひとつ
ひとつ

たくさん

田んぼの刈り株の跡
カラスが土の上にこぼれた光をついばんでいる
地面はでこぼことゆれ
コンクリートの陸橋の支柱がゆっくりと地面からめくれあがる
この余白に触れよ。
先生は余白を採集している。
「そして、機体はいつの日も重さに逆らい飛ぶのである。」
太郎ちゃんの耽美文藝誌「薔薇窗」18号の編集後記にあった言葉よ。

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