灰色の鬼/板谷みきょう
せん。
もう、鬼に手が届きそうな位になったその時
恐ろしさのあまり村人の一人が、大声で叫んだのです。
きっかけは、それだけでした。
集まっていた村の男たち皆が、天にも届かんばかりの、大声を上げたかと思うと、どうっと鬼に襲い掛かったのです。
それは、ほんの一瞬の
夢のような出来事―――
お日さまは、空に貼り付き、照らし続けています。
雲は、風にゆったりと、流されています。
ひばりは、高く高く、どこか見えない所で鳴いています。
オニハ、シニマシタ。
夕暮れ、村の男を囲んで、女、子どもも集まって、祝いの宴が始まっていました。なにしろ、男たちが力を合わせて、村を襲いに
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