雑居ビルの一室で/ただのみきや
 
千年の夢想が溶け混じる胡乱な空の下
わたしは大地の双六盤にまき散らされた小理屈だ
元型の森をさまよう兄妹の淫らな嘘や愚行のパン屑と争って
旋盤で削られてまだ間もない熱い鉄屑の匂いがする嘴で
黙々と啄むすでに図鑑の中にしか存在しない割れ鐘のような
鳥たちを待ち望みつつ切れ切れになりもはや?がることのない
原生生物的記号として無数の凹凸レンズに絡めとられ
身悶えしながらゆっくりと干乾びて行く そんなものだ
かそけきマゾヒズムの吐息は空白を渡り
光による八方ふさがりの中で陰影を転送する トマトを穿つ
指の反り返った一寸先で弾けるハナアブの羽音に巻き込まれ
視界を失い座礁した理性は背
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