雑居ビルの一室で/ただのみきや
景色の早いこと
一生なんて一瞬と
一瞬すらも永遠と
どうともできない流れなら
ただ穏やかに緩やかに
奇麗な蝶を追いかけて
野を駆け川を越え
樹海深く迷い込み
男はすっかり老いていた
蝶に見惚れて川に落ち
花を見つめて躓いて
街をぶらつき欠伸して
男の時は止まったまま
時間は平等か否か
こころ持ち次第か だが
こころ持ちで本性が変わろうか
生も解ける一瞬の結ぼれか
今に住み今と和んで行くことは
時代や世間に流されるのとは違う
見比べず疑わずにいれたなら
失くしても永遠の一抹と
わたしのマゾヒズム
数千年
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