無人駅で/渚鳥
 
多数”と考えると、どことなく気が遠くなる
けれど、やれるだけをやればよいのだ
私が血ヘドを吐きながら床のガムをこそげ落としていても清掃員の職務内容は変わらない
いいさ、次の仕事が見つかるまでの、繋ぎだ……


──ふと気がつくと床洗剤のキャップが見当たらない

ぎょっとして辺りを見回すと鳥の得意気な目とぶつかる
見れば洗剤のキャップを嘴にくわえている

「こら、待て!このあほう鳥が!!」
私と鳥との壮絶な追いかけっこが始まった

やっとの思いで洗剤に封をし直し、念のために成分内容を確認したところ、若干のアルコール分を含んでいるらしい

空の段ボールをひっつかみ、気の
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