無人駅で/渚鳥
気のせいだかふらついている鳥を捕まえ、段ボールごとロッカーに入れる
そそくさと帰り支度をする私の耳に、さっきよりも陽気な声で「お帰りなさい!お帰りなさい!」と鳥が喚く
言われなくても帰る
やれやれ、とんだ一日だったずら……
○月?日
鳥の飼い主が現れる
彼は外国から引っ越して来たばかりといい、カタコトの日本語を話した
bon voyage!
bon voyage!
鳥がいきなり鳴き出した
飼い主は急いでポケットから鳥の餌を出した
bon voyage!
bon voyage!
bon voyage!
鳥はますます興奮して鳴いた
○月?日
駅の伝言板に下手な日本語が書かれていた
「先日はお世話にナリありがとうござい?おかげさまでPikoげんき??」
○月?日
清掃業務最終日
駅長がやって来て、飲みに行こう、夕食を奢る、と言う
焼き鳥かおでんか、どちらにする?と訊かれたので
「じゃあ、おでんで……」と答えた
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