詩の日めくり 二〇一六年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
いる詩篇が多い。一部だけ引用してみよう。


さらに歩けば、奇妙な名称の部屋が視野に現われはじめる。
たとえば、受難室。
逃避室。
遡行室。
転調室。
反復室。
分岐室。
寓意室。
逆説室。
あるいは蛹化室。
(加藤思何理「赤いスパナの謎」)


 一度読んだら忘れられないような悪夢のような描写の連続である。詩集の表紙はポップなのだけれど。
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 もう30年ほどもむかしの話。20才を出てたかな、仕事で右手の親指をなくした男の子が言った言葉がずっと耳に残っている。人生って、不思議だね。何気ない
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