詩の日めくり 二〇一六年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
ない一言なのに。「友だちのために何かできるなんて、そんなにうれしいことはないと思う。」忘れられない一言だった。

 カヴァンの『鷲の巣』のつづきを読んで寝よう。暗くて、会話がほとんどなくて、字が詰まっている紙面で、ほんとうに読みにくい。しかし、ほんものの作家だけが持っている描写力はひしひしと感じられる。でなければ、読まないけれど。


二〇一六年十月十一日 「ぽっくり死ぬ方法」


 きょうは、一行もカヴァンを読んでいない。これからクスリのんで横になって、ちょっとは読もう。カヴァンを読んでいると、P・D・ジェイムズを思い出す。読むのに難渋したけど、さいごのほうで、すべてが結びつく快
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