詩の日めくり 二〇一六年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
、それなりに自己愛の塊で、まあ、それが人間なのだろうけれど、言葉で表現されると、本当に、人間というものがえげつないと思われる。読むのが苦痛に近いけれど、これから、アンナ・カヴァンの『鷲の巣』を読む。飽きたら、すぐにやめるけれど。いまなら、少しは読めるような気がする。


二〇一六年十月十日 「奇蹟という名の蜜」


 加藤(かとう)思何理(しかり)さんという方から、『奇蹟という名の蜜』(土曜美術社)という詩集を送っていただいていた。奇想・奇譚の部類の詩篇が並んでいる。グロテスクなものも多く、作者の好みが、ぼくの好みと一致している。部分引用がきわめて難しい緻密な構成をしている
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