ボロ布のようなマリア/ホロウ・シカエルボク
 
一緒に居ると、みんなが、いやな気持になるって」「それ、誰が言ったんだ?」「父さんと母さん」俺はなんだか悲しくなった、「普通の人じゃないなんて、そんなことはない…人間は、普通で居なきゃいけないなんて決まりのほうがおかしいんだ」マリアは困ったように笑った、きっと、俺の言っていることは難し過ぎるのだ…「それに」俺は構わず続けた、「普通じゃないわけじゃない、お前はまだなにも知らないだけなんだ」俺がそう言うとマリアはまた笑った、「うん、知らない…でも、知らないままでいい、わたし、ここに居るとわたしのままで居られるの」そうか、と俺はそれきり言葉を失くした、どうすればいいのかわからなかった、彼女がそう言う以上、
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