ボロ布のようなマリア/ホロウ・シカエルボク
 
たいという気持ちになってきた、「うちに来るか?お風呂に入れて、美味いもん食わせてやるぞ」マリアはニコッと笑ったが首を横に振った、「じゃあ、施設に連れてってやろうか?お前のような人を保護してくれるところがある、部屋を与えてくれて、着替えも用意してくれる」マリアはやっぱり首を横に振った、「わたし、ここがいいの、ここがわたしの家」それは、愛着にも見えたし、怖れのようにも思えた、病気になったりしたらどうするんだ、と俺は訊いた、平気、とマリアは答えた、「わたし、丈夫だから、寝てたら治るの、ほんとよ」それに、と急に調子を変えてぽつりと言った、「わたし、ふつうの人じゃないから、ここに居る方がいいの、わたしが一緒
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