ボロ布のようなマリア/ホロウ・シカエルボク
 
は、大手車メーカーの工場が聳えている、昔はメインストリートだったが、街が広がり始めたときにあっさりと切り落とされた、たいした理由はない、持主の半分が死んでいたことと、街の一番端にあった通りだったということ、そんな程度の理由しか…なぜいままでそこに行ったことがなかったのだろう?これもたいした理由はなかった、思い出すことすらなかったせいだ、はした仕事の合間の休日に、たまたまそこを通りがかることがなければ、きっと思い出せないままでいただろう、といって、思い出したところでそこになにかがあるわけでもないのだがーただ、なにもないだけだ、そこには、徹底的になにもないだけなのだ、行ってみようと思った、そこには誰も
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