私の人生らしきもの/幽霊
を求めた。私は堪らず咳き込んだ。そうしなければままならなかった。
私は、そしてさらに立っていることすらままならなくなっていた。私の見る世界は影を失ったようにぼんやりと白くて全てが融和しているようだった。私の存在は気を抜くと空気に溶け込んでしまうのではないかと思うほど希薄に感じていた。私は堪らずお風呂場の柱に縋りついていた。呼吸は泣き出しそうに乱れていた。そうして私はお風呂場の柱にしがみついて、ハリケーンのような目眩が通り過ぎるのを耐え忍ぶことしか出来ずにいた。これは久しぶりのことだった。このとき私は理性による束縛から解かれていた。これはちょっと嬉しかった。いや、もうちょっと嬉しかった。ふと見上
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