羽衣呪術/ただのみきや
絞り出した死は格言よりも苦く宝石の粉末や鱗粉の味がした
揺れ続ける水槽の中で銀の尾翼が頬を裂き発音しがたい名前の数々が
砒素を盛られた手品師のトランプみたいに不規則に散乱して
狐は走ったジグザクに雨の農地から子どもたちが儀式をする防風林へ
暗がりで甘く匂う薬物が薬品がシンプルな呪術が油絵具のように
混ぜ合わされて膨らんでゆく嵐の蕾 一つ目の鬼
照り返して斬りつけて輪郭を溶かし色彩で凄みながら
不在のまま存在を強く匂わせる旋律は戦慄でありコードは不協に揺らぎ
そうして休符が 空白が 消失が 舞踏する身体の記号化と
再び解凍する眼差しからの服毒 蝶と蛾のめくるめきにより
透明なガ
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