クリスマスプレゼント/板谷みきょう
 
てくる中、おじいさんは、なんとなく、初めて、幸せを感じたような気がしました。
…が、残ってくれている人の胸元にも、薔薇の花を見ることはできませんでした。
お医者さんは、じっとおじいさんを見つめています。

ふと、おじいさんは、窓を開けてくれるよう頼みました。
もう、開いた窓からは、クリスマスカロルも流れ込むこともなく、ただ、小さな沢山の星が瞬いて見えるだけです。重たく湿った冷たい風が、頬を気持ち良く撫ぜていきました。まあるいお月さまは、屋根すれすれに、大きくみかん色に、かさを被って見えます。
そんな中、誰もが何も言わず、おじいさんを見つめていました。

おじいさんは、残ってくれた人
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