クリスマスプレゼント/板谷みきょう
の姿を見て、声を掛けてくれた人の胸にも、薔薇の花はありませんでした。
無理をして外を歩き回ったりしたからだと、集まった人たちがささやき合っている通りに、おじいさんの容態は酷く悪くなっていました。
日もとっぷりと暮れて、表通りも人通りが少なくなり、集まっていた人たちも一人減り、二人減り、ぽつりぽつりと家路に向かっていきました。
家の明かりが消えていく中で、おじいさんの部屋の灯りだけがこうこうと哀しくともっていました。残って居た数人の人たちに、駆け付けて出来る限りを尽くしたお医者さんが、「クリスマスの今夜が山です。」と告げました。
近所の人に見守られ、微かにクリスマスカロルが聞こえてく
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