詩の日めくり 二〇一六年九月一日─三十一日/田中宏輔
亨「白状/断片」XVより)
白状しよう。
「空(くう)の空(くう)、いっさいは空(くう)の空(くう)なり」
という響きに浸されつづけてきたのだった。
そして今さらのようにぼくは、
「空の空」なる断片を、
輝かしく散らしていこうとしている、
「空の空」なるただのぼくとして。
(久保寺 亨「白状/断片」XVIより)
久保寺 亨さんの詩集『白状/断片』から、とくに気に入った詩句を引用してみた。とても共感した。思考方法が、ぼくと似ているということもあるだろう。しかし、10歳も年上の方が、こんなに、ういういしく詩句を書いてらっしゃるのを知って、き
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