詩の日めくり 二〇一六年九月一日─三十一日/田中宏輔
ぼくは「哲学するようにしか詩を作ることができない」
(久保寺 亨「白状/断片」?より)
ぼくがどこに行こうと、そこにはぼくがいて、
ある日の0(ゼロ)流詩人としてのぼくは、堤防の上にしゃがみこんで、
ぼくがぼくであることの深いツカレを癒そうとしているのだった。
(久保寺 亨「白状/断片」?より)
樹齢七百年の大きな樹木の前に立って、
ぼくは、七百年前の「影も形もないぼく」のことを
切々と思っていたのだった。
ああ、七百年前の「影も形もないぼく」がそこにいて、
そして、そのぼくの前に、ういういしい新芽が一本、
風に吹かれてゆれていて……
(久保寺 亨
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