詩の日めくり 二〇一六年八月一日─三十一日/田中宏輔
「点」とは
その言葉自体は定義できないものである。
他の定義された言葉から
準定義される言葉である。
たとえば線と線の交点のように。
しかし、その線がなにからできているのかを
想像することができるだろうか?
胎児もまた
父と母の交点であると考えることができる。
しかし、その父と、母が、
そもそものところ、なにからできているのかを
想像することができるだろうか?
無限後退していくしかないではないか?
あらゆることについて考えをめぐらせるときと同じように。
二〇一六年八月七日 「胎児」
この胎の持ち主は、ときどき酩酊する。
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