詩の日めくり 二〇一六年八月一日─三十一日/田中宏輔
 

時間がきた。
時間がまだある。
時間がたっぷりとある。
いったい、時間とは、なにか?
わたしは知らない。
この胎の持ち主も、時間そのものについて
しばしば思いをめぐらせる。
そして、なんなのだろう? と自問するのだ。
この胎の持ち主にも、わからないらしい。
それでも、時間がないと思い
時間があると思うのだ。
時間とは、なにか?
言葉にしかすぎないものなのではなかろうか?
言葉とは、なにか?
わからないのだけれど。


二〇一六年八月四日 「胎児」


わたしは、わたしが胎というもののなかにいることを
いつ知ったのか、語る
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