嵐と晴天/ただのみきや
 
マのように冷えて行く
変態の途中で射貫かれて
         反り返った手首は
切手を貼ることも出来ず 鳥にもなれず
乾いた洞に響く音色にもなれず
赤い河を過去へと流れ去る
 人形たちに 
     すがる伽羅の
          かそけき声





たとえば

青空に隠された砂金を
みずみずしい触覚で梳きながら
めくるめく蛾は夜を追いかける
無数の太陽の眼差し
なにもかもが陽炎にとけてゆく
そのようなもの





その詩人について何も知らない

雲雀は空にとけ
声だけが高いところで揺れていた
目を閉じれば近く

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