嵐と晴天/ただのみきや
 

開けば日差しに溺れ
いつまでも見つけられないまま
図鑑はとても簡素
雲雀について一般化された情報が載っている
唯一絶対の雲雀のように





彫像

嵐はひとつの身体
無垢な衝動 虚空の圧力
空気の叫び
肉体の軋み
樹々たちの
シンクロした忘我のうねり
四肢は素早くとぐろを巻いて
円く圧して 押し潰す
嵐はひとつの身体
無から解き放たれた
ひとつの舞踏





学生のまま老いてゆけ

  安らかな頓服だった
燕が迷う 腰の引けた 大地の鏡
芍薬(しゃくやく)よりも悪意ある
白スカーフの眼差しによる幽閉
宙吊
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