死作――詩に至る病としての/ただのみきや
詩でこころは割り切れない
書いてもなにかが余る
書いたものに届かない
それなのに詩作を繰り返す
たましいは堕落している
生きるためなど方便
生を誤魔化すために
神が創造しなかった煉獄を創作し続けている
詩は地獄を模した壁紙だ
天国のように美しければ尚更のこと
こうして時は過ぎて行く
砂糖壺に隠したアンモナイト
三億年の悪戯
あなたを狂わせたい一心で
これから失くすものを捕まえようとした
風の中の麦わら帽子
ポプラの一番高い梢で行方不明になった母は
海の底から響く鐘
紙で切るような痛みが西日から
笑い
青い胞子をまき散らす
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