死作――詩に至る病としての/ただのみきや
 
生のように
疲れた男がベッドに倒れ込むように
自死とはその程度
告発も抗議も恨み言も
しゃれた遺書も要りはしない
何をもってもつり合いはしない
つり合いを捏造する気もしない
水辺の緑の中で
内側から閉じるのだ
死が甘美な妄想であるうちに
人は死ぬべきだ
予行練習はなし
今日は見に来ただけなのに
ついローンで買ってしまう
売り子にではなく
自分を可愛がる自分にほだされて
限りなく自閉的に
白く泡立つ錯乱に
ぱっと意識を散らしてしまえ
種子を持たない綿毛のように





さらに、どうしようもなく

詩が詩のまま全うされ息を引き取るのは

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